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2005年10月19日 (水)

世界遺産 「伊豆・城ヶ崎」

学生時代から伊豆・城ヶ崎で遊んだり、潜ったり、働いたりしてきた。城ヶ崎には、伊豆半島の他の場所にはない、独特の雰囲気がある。それは緊張感…とでも表現できるのか、火山性の地形が作り出す、荒々しい大自然の息吹かもしれない。僕はそんな城ヶ崎の匂いが大好きだ。

以前、城ヶ崎の航空写真を襖二枚ほどに引き延ばしたプリントを見せて貰った事がある。総ての地形がシャボテン公園の横にそびえる大室山から吹き出した溶岩によって形作られているのがハッキリと見て取れた。伊豆半島オリジナルの海岸線から沖合に約1キロほど溶岩流が流れ込み、溶岩台地の張り出しを形作っている。つまり、城ヶ崎は溶岩の埋め立て地なのだ。

出来そこないのお好み焼きのような溶岩流の流れ出しの先端は、入り組んだリアス式の海岸線になっていた。

そして、その海底は30年以上も潜り続けている僕の仕事場だ。ドッシリと重く、黒く、硬い火山岩で覆われ、海藻や付着生物にとって安定した棲み家となっている。チョットやソットの波ではひっくり返らない頑丈な海底環境は、長い日本列島の海岸線の中でも貴重な存在である。その海底のスロープをユックリと深場の海底に向かって降りていくと、目を欺くような極彩色の底棲生物層が姿を現す。サンゴの仲間である刺胞動物・海綿動物・色とりどりの小魚たち…、百花繚乱の世界である。

そうそう、城ヶ崎には大きな川がない。溶岩台地が雨水を吸い込み、海底から地下水となって湧き出している。海の生き物たちにとって貴重な地上の養分が理想的な形で海に還元されているのだ。

僕は最近、伊豆・城ヶ崎こそ世界遺産の自然遺産に選ばれるべき地なのでは…と思うようになった。火山が作り出した大自然の溶岩台地、そのメカニズムが育む世界希有の温帯海洋生物層は我々日本人だけでなく全世界の宝だと確信している。

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