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2005年10月17日 (月)

台風の海

遙か南の海で停滞していた台風20号が進路を変え、関東地方に向かって動き始めた。向こうの山にいたヒグマが急に振り向き、こちらに向かって川を渡り始めたような厭な気分だ。

台風、特に海の上にいる台風は、僕たちダイバーにとって頭痛の源だ。はるか離れた場所からも「うねり波」を送り込んでくる。「うねり波」の入った海は一見穏やか…だが、海底は強い引き波、押し波に支配されている。

ユッタリとした「うねり波」は波頭から次の波底までの距離も大きく、その距離の長さを底辺とした3角形の範囲にいる海水を動かしている。つまり大きな「うねり波」は海の表面だけでなく、深い深度の海水までを動かしているのだ。結果として、「うねり波」は波頭の間隔が狭い「風波」と比べ、とてつもなく力が強い。

海底は数十秒ごとに繰り返される引き波、押し波に掻き回され、海藻は千切れ、砂や泥は舞い上がり、ユックリと撮影を楽しむどころか、一緒に潜ったバディーを見失いかねない状態である。

小魚たちは本能的にダメージの少ない深場の海に移動するものも多い。浅場に残った魚の中には、必死に岩陰に身を寄せている間に、激しく巻き上げられた砂粒で鰓を傷つけられ、死んでしまうものも多いと聞く。

もっとも、こうした台風接近の初期変化ををいち早く感じ、困っているのはダイバーくらい。船上で仕事する漁師さんやダイバーと犬猿の仲のサーファー達はまだまだ大丈夫と張り切っている。

大きな台風が過ぎ去った後の海に潜ると、海の景観が一変している事がある。浅瀬にある大きな岩が波の力でひっくり返され、岩底に育ったオレンジ色の海綿が剥き出しになっていたり、砂地のあった海底の砂が大波に吹き飛ばされ、海藻もないささくれた海底になっていたりする。ところによっては大きな岩が波で翻弄され、海底を走り回り、岩盤の海底を砕き回った痕が、まざまざと見て判る事もあった。

磯の健康は、その海に暮らす生物すべて( 人間も含んで )の幸せを担っている。台風が大きな時化を連れてこない事を祈ろう。

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